特長を養う

社会人になってから、経験を通じてわかったこともあるけれど、もともと何がしたいかはあるいは、学生の頃にできることもあるのかもしれない。とはいってもそこまで勉強ができたわけでもなく、たたけば埃がでるようなものではあるけれど。僕はもともと引っ越すことが多かったので、あまり学生生活が馴染まなかった。進学校に行ける塾のことは、高卒の先輩がよく知っていた。勉強ができて、リーダーシップもあるような人もいるけれど、そういったケースは稀で、大抵はどちらかに偏っていた。部活に一生懸命になっていた頃や、またはそこから塾に通いだした頃を繰り返しているような感じだった。そうしてぼんやりと、特長を培っていったところがあった。

僕はしばしば勘違いをする、それは何かを失うこともあれば、返って思いがけないことが見つかることもある。一方で勘違いが少ない人は、常に他の誰かが気にかかっているのかもしれない。学校にはまっすぐ行ってまっすぐ変えるような、やや寂しい時代が続いた。当時のゲームはまるでヤクザのような台詞回しで、小説や詩ならそれが緩和されるかと思ったらそうでもなかった。その頃から変なように標準語を使うようになって行った。それでいい人を演じたいと思ったのだ。ちょっとしたことでからかわれて、よく泣かされていた。そのせいか、あまりドラマや漫画で感動する頃には涙が乾いていることがしばしばあった。

パソコンはワープロや家計簿くらいしか、活用の方法がなかった。ゲームに出てくるドットグラフィックは、絵の具やキャンバスが無くてもカスタマイズができたものの、それがどのような仕組みで動いているかを理解しても、それをパソコンとは別の実機にプログラムを移すような術を知らなかった。当時では図書館の貸し出しや検索システムが、データを扱う一般的な事例だった。それに比べると教科書に載っていることは、やや画一的で、時代の流れに沿って変化するほうが継続的な学びになると思われた。とはいえ変化の先端には、常識を覆すような新しい慣習が試みられていることも往往にしてある。

webサイトに必要なHTMLタグは大学の情報と、専門学校で基本的なところを学んでから、専ら検索サイトで調べていた。当時は施設の様子をデジカメにとって、それをホームページにまとめるという作業をしていた。隣ではカーテンなどの寸法をデータベースに変換していた。どうにもホームページビルダーのドリームウィーバーというツールが似合わなかった。データベースにも興味はあったけれど、それを教えてくれるような雰囲気でも無く、データを学んでいる場合はビジュアルが必要になり、ビジュアルを作ろうとする場合はそれを補強するデータが必要になるというどっちつかずの構図があった。それでも学生の頃にある程度自主的に何気無くしていたことが、社会人になると挫折や嫌がらせという通過儀礼が必要になることを、僕はまだ自分がそうだったとしても他人にもそれを強要する気になれなかった。おそらく世間は階層化しており、自分が苦労したところが楽にこなせることもあり、それがもしかすると効率化の助けになることもあるかもしれない。

おそらく、AIに色々なことが取って代わることは考えにくい。あるところでは滑車を荷物運びに使うことが難しかったが、滑車の仕組みを知っていればそれを使って色々なものを運びたくなることもあり得る。もし力が弱くてもその作業に思い入れがあれば、道具を使って意欲的に取り組めるということもある。マウスについたタブレットで絵を書くことを勉強の合間にしていることがあったが、よりうまく描こうとするとタブレットの精度をあげるか、または設計図のように平面や、高さや奥行きを加えた図にするかなどは道具がなくても試すことができる。中にはひたすら生き生きとした表情だけと躍動感を描きたいという人もいて、ボールペンでもシャープペンシルでも空いたところに色々と描いていた。もし絵が書けないとしたら、イメージが沸くまで、教育番組を聞いたり、本を読んだりすることもあるという。とはいえそれが創造的とも思えず、実用的なことを自主的に取り組めるようにと考えた。

引っ越しが多く根無し草と呼ばれていた。僕自身どこかのコミュニティに属したことがなく、そのコミュニティで居場所が欲しいと考える人にとっては、扱いにくいこともあったのかもしれない。あるいは、どのような相手を巡り合うかを決めることは難しい。思いがけない組み合わせによって流れが変わることもしばしばある。それでも折り合いをつけながらも、誰にも頼まれずに何かを続けることが、時には誰かから心ないことを言われたり、また僕自身がそれを羨んだりしてあまり重要でないことのように思うこともあるかもしれないが、その人が思う正しさがどのようなあり方をしているかに、落ち着いて興味が持てるような視点もあってもと思う。運や物珍しさに振り回されずに特長を養っていきたい。

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