学びの成り立ちと自助

本が読み手を伝ってあるく。という表現は興味深い。僕は古本で価値のある本を探すことが正直あまり得意ではなかった。どちらかというと有名な本やアニメ原作の脚本に影響されて、それをなかなか否定したり自分なりの考えを持つことができたとしてもそれが、相手にとってもためになるかと思うと、悩ましいこともある。それでも僕は自主的に本を読んだりする中で、周りの人は僕より頭もよく、周りに優秀な学歴を持った人がいて、その間で難しく考えすぎるようなところもある。僕はそれほど能力があるなら、もう少し何かの役に立てばみんなが喜ぶのにと思うこともしばしばあった。しかしながら彼らには彼らなりの勤勉さがあり、より難しく周りと競合しない事が希少価値に繋がると考えている。

国語は小学校の頃に、教室の隅にあったような本棚を読んでいた。僕の学力では無理だとよく言われたものだった。当時は両親も息子を進学校に行かせる余裕もなく、おそらく内気で議論下手な自分は手に職をつける進路が妥当であろうと思われた。家には父の本棚があり文庫本だけでなく洋書やミステリー小説もあったけれど、そのことに興味関心を持てることは珍しかった。父との話はあまりかみ合わず、もともとは父が家計簿の作成でパソコンを買ったりしたものの、図書館で歴史やプログラミングの本を借りてくると、僕は相手からいろいろなことを教えて欲しいと思うし、また自分でも何かためになることを話したいと思ってもそれが具体性に乏しかったので、まずは父の話をうなずいて聞いている事が多かった。そのころの偏差値も50あればいいくらいで、人間関係もあまりパッとせず、どこにでもいそうでややドジの子供だった。それでも高校から大学にも専門学校に行くにしても、勉強くらいしたほうがいいだろうとして、寺子屋のようなところで教科書のおさらいをすると、相手の講師は東大生だったが、あいづちのタイミングを合わせているうちに自分でも何か付け加える事ができるのではないかと思えてきた。教科書は10円コピーで要所を印刷してもらえて、そこに手書きでメモを書き加えながら、ちょっとした合間に英単語を覚えたり、数式をより扱いやすく分解して、その時々で公式を繋げていくということをだんだんと身につけて行った。そんな時、高校の数学の先生が、イギリスの剰余定理のレポートを取ることがあり、それを寺子屋に持ち帰って一つずつ解いて行った。やがて、一人でも放物線やそれをわかりやすく微分という単位に分けることを公民館や実家でも自主的にできるようになると、数学だけは高校の先生の予想を超えていた。なるべくは相手の言うことを尊重してコツコツと取り組んでいきたいと言う風に受け答えして、僕は2駅分くらいを歩いて帰った。

その頃、司馬遼太郎の文庫をいろいろな所に持ち寄ってわからないなりに読んでいたものの、特に項羽と劉邦は司馬遷の史記につよい影響を受けながらも実際には漢書の要素を含んでいることように文脈から読み取れるようになった。しかしながら表向きには史記に準拠にしている。源氏物語でも男性が漢字を習う時に史記を習ったというけれど、実は漢書と照らし合わせて漢字と平仮名を組み合わせて、今日の言語が織り成されているところもある。実のところは古代の遺跡にも、近頃の若いものはと生活感があるようなメッセージがあれば、それから実は共感できるところがある。しかしながら学問が、社会のためになるには科学的で現実的である必要がある。それによって個人やまた誰かの居場所をささやかながらこしらえていくことが目的になる。

現代では昭和期にあったような戦争もなく、第三国の紛争がある中で、それも緩やかに緊張緩和に向かい、北朝鮮ですらロケットだけでなく、再生可能エネルギーの普及もあり、国粋主義的なあり方が果たして隣人のためになるかと言う疑問が生じる。僕自身は、世の中かこうありたい、あるべきと言う多くの意見もあれど、本来は個人と個人の繋がりから社会ができていくところがある。イスラム圏のイブン・ハルドゥーンは、諸学問を体系的にまとめるための書という一連の書物を要約すると第1巻のイニシャルをとって歴史序説と名付けられた。そこでも文化のかたちがそこに見られて、昔の本でも価値観が今にも通じるように息づいているように思われた。

列伝や、組織の成り立ちを読んでいくと、そのドラマチックさに見る間に感情移入できるけれど、それでも当事者なりの苦労がしのばれることもある。実際のところ歴史では専制君主が統治した時代の方が長く、民主的にまた現実的にできることを協力しあってその組み合わせてより強い力を出すような事例は、それに比べると奇跡のようなものだった。それでも伝統は世代を超えるものの、その人の人生は一期一会でもある。巷でも優しいだけでは信用ならぬという戒めが残っているけれど、誰にでも長所がありそれがきっと何かの役に立てばと思う。

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