分かりやすさを選ぶ

不寛容社会の壁をすり抜ける必要がある、それは本当にそれを禁止しているわけではなく、向こうはそれなりに何ができるか、またそれがどのような影響になるかを推測したうえでの駆け引きだったと思われる。例えばテレビ越しに手品を見ていたとして、実は舞台袖に細ピアノ線や磁石が隠されているとか、またはカーテンの裏にハト小屋があるけれど、シルクハットのなかから唐突にハトが出たように見せるために黒く塗っていあるとか、壁の裏にマジックミラーが仕込んであり、こちらから向こうの様子は分からないが、向こうからはこちらの様子が分かるといったものがあるのかもしれない。それは実際のところ推測にすぎないけれど、自分が実際にすることと、方向性が異なる場合に、我慢の度合いを測るものがある。やりたいことができないことは仕方がないにしても、それを我慢する程度が、仕草によって読み取られることがある。

ニコニコ生放送のカメラ機材を使ったアニメのように仮想でない放送で、コメント投稿機能があっても、自由が発言ができず、何気ない雑談なのに、なぜかこちらが黙って落ち着いて聞いているとスタッフが喜ぶという状態がしばらく続いた。スタッフやキャスターは、時事問題や政治、経済の話をざっくばらんにするけれど、それに対して相槌を打つことも難しく、かといって価値判断が随所にちりばめられているので、まるでYESかNOかの選択肢をタイミングよく選ぶことが、うまく沈黙と平静を保てる方法ということになる。しかしながらそれはサブリミナルという、放送をしたり、文章を作成する人が喜怒哀楽の合間にこめた無意識に訴えるようなメッセージや、または、パワハラに見られるような、相手を矮小化して、課題を極大化するという着眼点のすり替えなども実際には存在する。

そういったときには自分が発信できるメッセージは、多種多様に受信するほどに万能感は伴わないことをあらかじめ分別しておく必要がああると思う。またメールでも、かならずしも分かりやすい業務的なメールがすべてとは限らず、考えが高度になると、すぐには解読できないメッセージもある。よく読めばわかったけれど、途中で分かった気になってというアヤもないわけではない。僕は相手に難解なメッセージを送るのは、なにかを理不尽だと感じたり、不当な扱いを受けていてもそれを自分で解決できないときがある。または、自分の手に余ることんなどがある。かつて購読していたメールマガジンにもそれが有料であることと無料会員と識別するために、繰り返し読まないと分からないメッセージを織り込んでいたことがあった。それが続きを読むの先にあると予測通りであれば、とくに驚かないが、暗にほのめかしたり、またはタイトルだけで本文が無かったりということもある。これはたとえば友人にショートメッセージを送るときに、件名を省略するのと似ているかもしれない、定型的な挨拶があると安全装置になって、相手が不安に思って繰り返しチェックしたりしなくなる。または競ったり合わせたりするきっかけをつくる。猫がねこじゃらしに夢中になるのと似ている。僕は相手をその気にさせることが、それが興味がないと言いきってしまっても、実際にはそのコツが分からなかった。親しき中にも礼儀ありという諺があるが、僕が相手にそれが形式だと見透かされていても丁寧な対応を取ろうとするのは、サブリミナルや精神的な支配が恐ろしいと感じるからだ。

ニコニコ生放送のプロデューサーがそれを歌舞伎のケレン味と表現したのは、人付き合いでいう脅しや空かしの部分で、喜怒哀楽のバランスを取りたいからだというが、どうにもそれ以外にも意図を感じる。なぜか編集的な立場のスタッフが加わると、場が和むよりお互いがピリピリする傾向になる。編集者はなぜか編集者どうしでコミュニケーションを取ることが多いが、実際にはそれぞれのグループの制作部門があり、縦と横の地と図が存在する。SNSだけを見ると、まるで舞台でワイヤーで吊り下げられて空中サーカスをしているように見える。

できれば偏ったメールマガジンやSNSでの近況だけでなく、自分の為だけでなく新聞などから客観的な知見を得たいと思ったけれど、新聞は速報性が強く、それだけメールより分かりやすいけれど、その人らしさが不特定多数の人に触れるだけあってらしくないところもある。原稿用紙より、インターネットの掲示板のほうが作成が手軽な分だけ、参加者のらしさが反映されやすいという。しかしながら後者はその意図が直接的で、パソコンで作成した文章は、プログラムでもない限り容易にコピー&ペーストできるというより、それが証拠であるかのように扱われてしまう。メールではその時の時刻や正誤がついつい気になってしまう。例えば文面では想像の余地があるが、映像化されるとイメージが固定されてしまう。やせ我慢の状態を緩和する寛容さを取り戻したい。

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