しなやかな心

もともと、引越しを繰り返してどこにいっても根無し草のようだった。
目標を分かち合う知人もいない。組織の競争意識が働き、目標が理想化することがある。なるべく一人でできた方がいいけれど、そうでもない部分もある。
僕を分けてみると、社会的な役割は固定化されていない。誰かに頼る一面もあれば、自分で歩くこともある。意固地になると、上手くいくものも上手くいかなくなる。
僕の場合は、笑顔を作る頰がのっぺりとしてしまうようだ。自然に笑えたことはあまりないのかもしれない。世の中と折り合いをつけながら、一人でも多くの人が幸せになればと思う。我慢やしんどさに囚われると、何もできなくなる。それでも僕は、そこそこには動いていた方だ。誰かを動かすより、誰かのために動きたい。それだけでは、計画性がなく、持続性がない。そっと自分を労わりながら、政治にも経済にも目もくれず、雨が降れば、雨宿りして、できることを少しずつ増やしてゆく。
受容ということが誰にとっても辛いことのようだ。相手を受容することで、その上に立とうとすると上手くいかない。かといって、そのまま受け入れても負担が増えるだけだ。制度として、過労や奴隷は無くなったものの、精神的な苦痛は癒されることなく残っている。失っても形はない、それでも前を向いて歩いていく。
それでも何だか、やりきれない気分にさせられる。他人の苦労を受け入れることはとてもしんどい。でも、そこから少しずつ悩みを解いていく必要がある。
相手をどうにかして出し抜こうとするようになる。競争は終わりがない。今の世の中では、おそらく優位に立とうとすると揺り戻しがくる。定点観測して、変化に対応して残ったものに継続的に向かえているかを振り返る必要が出てくる。

義務感だけでも相手の心に訴えかけることができない。そうなるとパフォーマンスには現れないけれど、どこかわだかまりが残る。相手を認めたくないという意地だけが、元気の元になっているという場合もある。僕の場合は、そういった余裕がなかった。いつでも相手にしてやられる。どのような方法かはわからない。でも敢えて相手に上手くいくようにして、それでも少々徳があるのなら、見逃してくださいなと、のらりくらりと受け流し、やり過ごしてきた。
デジタルカメラにその人自身が写っていたり、他の人のものばかりを撮っていると、なかなかメディアになりにくい。それでも、何でもモノづくりであればいいかというとそうでもない。電車やバスのような公共交通機関が正しく動いていることは必要だけれど、それが幸福な生活の十分条件ではないのかもしれない。公共と民間のバランスを、政治に影響力がないながらもそこかしこに探している。
フランシス=コッポラ監督は、フィクションでゴットファーザーというドラマ映画を作ったけれど、興行収入はそれだけでなく、実はワインの醸造で地道に資金を貯めていたという。明治時代のサムライも文明開化では、リンゴを栽培したり、ブトウ酒を作ったりしたそうだ。お子様ランチというと、大人になったら子供だましかもしれないが、見方によっては各国の料理の特徴を捉えて相手に合う形でリデザインした画期的なモノづくりとも言える。それでも、らしさを新たに作り変える段階で意地と向き合う必要があるのかもしれない。Googleという検索サービスでも、コミュニティでは一人ずつ順番に議論していったそうだ。そんなことをしたらキリがないと思われるが、検索はデータベースの照会だけでなく、相手に合うものを探して集めるというインフラでもある。それでも何らかのアルゴリズムが検索ボタンやタブの間に潜んでいると思うと、タダほど高いものもないという途方もない返報性を感じる。
人気があることで多数派になろうとするけれど、今より少し人気が欲しいのであればむしろ人気がない方が理解者ができやすい。人の中に紛れるとなかなか抜け出せない。平均に新たな価値を見出せなくなる。むしろ開き直って、それだか標準的な方法に明るいと考えるのもありだと思う。ジャンルを野球からソフトボールに変えるという。あるジャンルで優れた結果を出しましたというだけでは、相手も相応に構えてしまってパフォーマンスが出せないということもある。でも勝とうとするだけでなく、負けじとして準備を整えるところに責任感を感じますねと相手を先に認めてしまう。もともと、相手と折り合いをつけて上手くやって行こうと考えているので、多少の理不尽があっても心が少し痛むだけで済む。また、何かのタイミングで相手に上手くいいくるめられたことを自分の言葉にできれば、それが客観的な理解へのものさしにもなる。サービス業は運気のまだらさを捉えて、そこにあえて筋道を立てて、分かりやすく伝えることにある。一方的に話すだけでなく、むしろ相手の話を聞くことが肝要になったけれど、お互いが受け身になってしまうことがある。そこで、間を取りながらゆっくり話すことでかえって、色々な価値観の多様性を見つけていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です