ありそうでなかった思策のかたち

東方シリーズはそこまで、やり込んでいなかった。ゲームでも縁日の射的やダーツに似ているシューティングゲームは、一人でもそこそこ進めることができるので、他人に迷惑をかけない範囲でそこそこやり込んでいた。小学生のことにロシアの人工衛星の球体に爪が生えたようなデザインが特徴的なのR-Typeがデザインが近未来的で、カッコよかった。明治大学に入ってみると、漫画研究会の部室にR-Typeがあり、どういうわけか一人でやり込んでしまった。そんなときにDTMをパソコンで作っている先輩が、懲りずにやり込んでいると変なふうに気に掛けてくれた。ゲーム自体の腕前はよくなかったが、ジャンルにこだわらず、一人でも色々と工夫を模索するところが、柔軟な見方を養った。その頃は格闘ゲームでジョジョの奇妙な冒険がDream Castという従来のスーパーファミコンやプレイステーションに比べると持ち運びしやすそうな箱を、わざわざ持って来たという。その先輩はゲームが上手く、僕は格闘ゲームが苦手なので、波動拳もろくに出せないけれど、手伝ってもらって、ホッとしたことがある。しかしながら、なぜだか、3Dゲームをした後には、ノートに二次元のデフォルメしたキャラクターをスケッチするという風習があった。これは漫画研究会に限ったことではなく、アーケードゲームがある明大前のお店でも同じようにデフォルメしたキャラクターが書かれているという。

その中で、シューティングゲームの同人作品としてパソコンで、東方妖々夢というやや密教のような雰囲気のゲームがあり、近未来というより、一つの道のりを辿って行くというゲームだった。そのゲームの話をしようとしても、あまり共感されなかった。話し相手にとってレアなアイテムが手に入るでも、資格勉強の暇つぶしになるでもない。ボタンを押しているとピアノ調で対話的なソナタ形式のBGMが流れて、ありそうでなかった懐かしい心象風景に浸ることができるというものだった。登場人物は男性よりやや女性が多い。それでもどっとグラフィックだったのでそこまで美人にも見えなかった。思春期とはいえ特に女性に興味もなかったが、男性よりは柔らかな語り口を持っているという。
その頃から、男性は自分の意見を通そうとしても暗黙のルールでうまくいかないことがあったりして丁寧な手法を身につける。女性は、他人に侮られまいとしてむしろ男性より強い決断力を持って、性格がしたたかになっていく。そういった中でも、キャラクターは、男性の中の女性らしさ、女性の中の男性らしさを巧みに引き出す象徴のようなものでもあるようだ。
そういったことは普段会話していても、なかなか共有されることがなかった。また、僕も数ある東方シリーズの中で、第三作目にあたる妖々夢から初めて、根っからの東方ファンとも混じれないというジレンマがあった。コミケや例大祭に参加したのも、社会人になってからのことで、そこでキャラクターを介した友情やそのための対話は、むしろ過ぎ去った思い出を呼び覚ますものかもしれない。
2017年になって、面白法人カヤックというweb制作会社が、Nintendo switchのゲームソフトにて雷神というシューティングゲームを作るようだ。シューティングゲームは、格闘ゲームやRPGと異なり、ボタンを押しながら球を避けてパターン化する作業のようなものだ。ところが初めから作業だと分かっているとやや想像力が膨らまない。幽遊白書とう少年ジャンプの漫画では、少年の能力者のゲーマ王こと天沼という少年と幻海師範がシューティングゲームで対戦するというシーンがあった、原作ではサラッと幻海師範が技を繰り出して展開を流していたものの、アニメではヘリコプターの操縦や、球の避け方などがリアルに描かれていて、想像力を刺激するシチュエーションが多く含まれていたことがうかがえる。あるところでは若返ってかつての姿に戻る幻海師範にフォーカスを当てるのか、あるいは幻海師範が天沼という少年と対話しているシーンをおうか、または鳥の視点で視野がスクロールする状況を見るかと30分のアニメでも何度見ても新しい発見があった。
電気紙芝居と言われるゲームもまた、コマ送りでシーンを時間に沿って流して動きを再現している。パソコンのホームページは遠くから任意の情報を得ることができるけれど、何か判断や確認を必要とする画面は止まっていることの方が多い。それでもその状態を維持するためにゲームより多くのメモリや電力が必要になる。普段の営みにパターンを見つけて、それを試行錯誤する、それ自体はとても取るに足らないことだけれど、誰もいじらずに自分を整えることができるので、ただの時間を過ごすより思索を巡らせるきっかけになっていた。あるいはソリティアやマインスイーパーでも同じことができるかもしれないが、伝統や定番が持っている背景を、理想化せずにありのままを見つめて、そこからできることを見つけられるようになっていたい。

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